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バクロの黒毛和牛・熟成肉について

2014.09.23 /

久しぶりの投稿になります。店主の尾崎です。
先日「福岡肉本」という雑誌に取材のご依頼をうけ久しぶりにライターさんに当店の考え方を
誌面に掲載頂きました。ありがとうございます。
肉本
その中で「熟成肉」に関しても取材させて頂きましたので、補足として当店の牛肉そして熟成肉に関する考え方を少し書きたいと思います。
当店は私の父が運営する「農事組合法人 尾崎牧場」で肥育された純鹿児島産血統の黒毛和種を1頭、枝肉単位で買い付け「黒毛和牛BAKURO」「やきにくのバクロ」「バクロミート」にて販売しております。
バクロで販売している牛肉は私が責任をもって出荷された牛から目で見て触って肉質・脂質・仕上がり納得出来る物だけを選定し月に4~5回10頭前後買い付けています。
そもそも美味しい牛肉とは何なのでしょうか?

人の嗜好は千差万別でまた数え切れないほどの調理法もあります。一種、焼肉といえど数あるお店がそれぞれの牛肉やタレ・塩・加工方法などこだわりを持って営業されていることだと思います。
その中で、私たちは今まで「1頭余すことなく最適な状態で」という部分に注力してきました。
尾崎牧場産の黒毛和種は独自の配合飼料で肥育され特に赤身、要するに筋肉の味が濃いと感じています。
和牛というのは戦後、外来種と日本固有の種を交配させてきたもので、外国産特有の赤身で淡泊な牛肉を良しとせず、筋肉の脂肪がまんべんなく入った(脂肪交雑いわゆる霜降りまたはサシ)牛肉を作ろうと改良されてきました。
和牛が甘く芳醇なのはサシが甘くジューシーだからなのです。脂肪は不飽和脂肪酸値(いわゆるオレイン酸)が高い物の方がより甘さを感じられ融点が低いものほど溶けます。
ですので筋肉によりサシが入った牛肉の方が甘く感じ、さらにサシが多いことにより「とろける」という食感になり最高であるとされてきました。
その最たる物が「格付け」いわゆるA4とかA5といわれる指標ですね。
BMS
格付け
このような牛肉は世界を見ても日本固有の物であり、先人達に感謝すべき誇るべき物だと思います。
しかし、よりサシが強い牛肉だけが良いとされるのに消費者目線として私は疑問を持っていました。
現実に沢山のお客様からも「霜降りの肉はもたれる」「たくさん食べられない」という意見も頂きます。結局はバランスだと思うのです。
A5のロースは見た目も鮮やかで食感もとろけるようですが、沢山は食べられない、A2や赤牛のサシっ気のない真っ赤な赤身は淡泊すぎて味気ない、など極端に言えばA5の和牛1頭の中でも部位によってサシ気は異なり、柔らかさも異なるのです。
要は、格付けや部位による特性を見極め、物によって最適な加工方法や提供の順番・味付けを提案し提供することがプロの仕事だと思っています。
話は戻りますが、牛肉と言っても格付け、さらには1頭の中でも前系・ロース系・バラ系・モモ系とあり、より細かないわゆる希少部位によっても最適と言える裁き方やカット技法がそれぞれあります。
その中でも最近では特にサシの入った赤身(表現としてはおかしいですが、サシのある程度入った赤身部位ということ)が支持される傾向があります。
当店では創業当初より牛1頭様々な味わいを楽しんで頂くため極上の霜降りロースをその特性を生かす商品や赤身の旨味をより引き出すメニューなど提供方法を日々研鑽しています。
今となっては赤身といわれる部位も周知され色んなレストランで口にする機会が増えました。業界としてはとても良いことだと思います。
お客様もお店に来店されるのに、とても勉強されてるなぁと感じる方も多くいらっしゃいます。(例えば牛肉の本を片手に食べ比べられてるとか!会話の中で出た牛肉専門店行ってみたよとか!すごい!単純にうれしいです!)
来店されるお客様がレベルが高い中で、分割・希少部位だけではバリエーションが限られる(といっても一般的焼肉店よりはもちろん多いですが)かといって牛肉料理をだしたってお客様は焼肉を食べに来ているんだし、と試行錯誤する日々が続いていました。
そんな中、数年前に出会ったのが熟成肉でした。はじめて口にしたドライエイジング熟成肉は「???」という感じで正直ウェットエイジングで2週間のものと大差が感じられませんでした。
プロとして私の舌が悪いのかと疑いましたがwよくよくそれから全国、ドライエージング熟成肉を食べ歩く中で、熟成1つでもやり方や考え方によって仕上げが違うことに気づきました。
熟成肉を毎日食べていればフレッシュとの差ははっきりしてきますが
当店では、月に数度ましてや熟成肉は大きくトリミングするため高価な商品です。
それを頻繁に食べる機会が無いお客様にはアミノ酸量の増加(熟成とはタンパク質がプロテアーゼによって分解されアミノ酸に変化することによって旨味が上がること)は舌で感じ取る事は難しいのではないか?と考えています。

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白カビを付けて熟成を促進し香り(いわゆる熟成香といわれる独特の香り)をしっかりつければその差ははっきりしますが、それは香りによる風味の差であって燻製や加工物に近いもので肉本来の味の変化は逆に香りが邪魔をして感じ取りにくいと考えています。
風味先行で香りがしっかりする肉が、良く熟成出来たもので、そうでないものは出来損ないと、とらえられてしまうと熟成肉の価値そのものを感じてもらえないことになり残念です。もちろん白カビをつけずとも香りは出てきますが肉の味を邪魔するような物ではないです。
前出ですが熟成肉は熟成することによって旨味を出すことが目的であって香りを出すことが目的ではないと考えています。でもその旨味の差が分からないのでは?ということなりますが、そこで最初に戻るのですが
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あくまでフレッシュの牛肉(と畜後の肉は死後硬直のため一番硬い状態です。私の言うフレッシュと脱骨後1週間~3週間の状態。熟成は個体差はありますが5週間~10週間乾燥熟成させた状態。)が1番美味しいと考えています。
熟成肉はより濃厚な旨味を引き出した逸品でありあくまでサブメニュー。さらにはフレッシュと熟成の食べ比べ(同じ部位の)こそが旨味の変化をより感じやすく最適な提供方法だと考えています。
より牛肉を楽しんで頂くためにフレッシュと熟成を使い分ければ今まで提供していた部位の2倍の種類を提供出来るようになる。より牛肉を楽しんでもらえるお店作りができるということで取り組んでおります。
まだまだ熟成肉に関しても研鑽中ですが、個体個体をみて現在できる最高の状態であると判断した物より薬院店のみで販売しております。
機会がありましたら当店の熟成肉を試されてみて下さい。
あっ、あともう1点。
赤身の熟成肉が世の主流ですが、脂肪の酸化をしっかりと管理できた霜降りの熟成肉の方がはっきり言って美味しいです。
さらにいうと外国産の熟成は元が元で赤身で淡泊な物をより美味しくしようという物であって、和牛のそれとは別次元だと思いますよ。
あくまで僕個人の嗜好ですが。
今後ともバクロ各店よろしくお願いいたします。
黒毛和牛BAKURO 薬院本店 (焼肉店)
福岡市中央区薬院3-12-41-1F
092-406-1129
やきにくのバクロ 警固店 (焼肉店)
福岡市中央区警固2-15-3
092-406-4129
やきにくのバクロ 大橋店 (焼肉店)
福岡市南区大橋4-13-32
092-408-9629
バクロミート (精肉店)
福岡市南区大橋1-23-9
092-408-7829

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